英語の綴りと発音の不一致を引き起こした犯人【大母音推移 Great Vowel Shift】

英語の綴りと発音の不一致を引き起こした犯人【大母音推移 Great Vowel Shift】

英語の綴りと発音の不一致を引き起こした犯人【大母音推移 Great Vowel Shift】

英語の発音について、何で take をタケではなくテイクと呼ぶのか不思議だった。ローマ字読みと全然違うじゃないか。なんでやねん。

これについて調べてみると大母音推移 Great Vowel Shift という聞いたこともないような単語が出てきてしまった。何これ(°ω°)?

綴字と発音の乖離

大母音推移の前に、綴字と発音の乖離という話をしておきたい。綴字と発音は原則として対応するはずなのに、英語ではこれらが一致しない。これが綴字と発音の乖離という英語が抱える問題だ。

しかし大昔、中英語と呼ばれる12世紀頃までは英語は綴りの通りに発音していたらしい。take はタァーケといった具合だ。

それが次第に、タァーケ(1300年)→テェーキィ(1600年)→テイク(1800年)と変化していった。

この母音の変化を大母音推移 Great Vowel Shift という。

ところで12世紀頃の英語は綴りも固定されておらず、各々が自分の話す発音通りに適当に書いていたらしい。よくそれで手紙とかでやり取りできたもんだ。

しかしまあ12世紀と言えば未だ中世。騎士がいたり魔女狩りしたりしていたファンタジーワールド。字が読めるのは貴族や学者など上流階級の人々で、しかも彼らは書き言葉としてはラテン語やフランス語を使用していた。英語を話す一般庶民は本を読むこともなければ手紙を書く事もそれほど無かったのだから問題なかったのかもしれない。

大母音推移ってなに??

大母音推移なんて言葉、初めて聞いたのでまずは意味から確認。

大母音推移(だいぼいんすいい)
英語において1350年頃から1600年頃にかけて起きた長母音の変化。最も舌の位置の高い/iː/ /uː/は/ei/ /ou/と二重母音化した。他はそれぞれ舌の位置が一段階高い位置に変化し,/eː/→/iː/, /ɛː/→/eː/, /oː/→/uː/, /ɔː/→/oː/, /aː/→/ɛː/に変化した。
三省堂 大辞林より

英語史の中では結構有名なトピックらしい。iPadの予測変換にも「だいぼいんす」で「大母音推移」が出てきた、ビックリ。

有名なトピックで長年注目され研究されているテーマなのに、その原因や過程については不明な点が多く、英語史最大の謎の一つとも言われているようだ。

どんな事が起こったのか

原因は明らかになっておらず、人の移動、ペストによる大量死のための人口バランスの変化など色々な説がある。

原因はわかっていないのだが、ブリテン島全体で200〜300年かけて母音の舌の位置が一段ずつ高くなり、音が変化したと言われている。この変化はバラバラに起こったものではなく、非常に「体系的に」生じている。

下の図を見ると分かりやすいが、各音は一段ずつ高くなり、一番高い音はそれ以上高くなれないので音割れを起こして二重母音になっている。

・参考 ⇒大母音推移|hellog〜英語史ブログ

『舌の位置が高くなって音が変化する』ってどういうこと??と思った人はこちらの記事をどうぞ。口の形を変えていくと口の中で舌の位置が変わり、音も変化していくのが体感できる。
↓↓

英語の綴字と発音が一致しないのは大体こいつのせい

このダイナミックな母音変化のために、以降の英語では綴字と発音の乖離という問題を抱えることになった。

折悪しく、15世紀の活版印刷の普及により綴りが統一・固定されていく中で、発音は大母音推移のために変化を続けていた。

結果的に『昔のままの綴り&変化した発音』というセットが固定してしまい今日に至るわけだ。


ところでこの『綴字と発音の乖離』にイラッとしたアメリカ人がアメリカ綴りを提唱した辞書を作り、イギリス英語とアメリカ英語の綴りの差異に繋がっていく。

それについての話はこちらから。
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では今回はこの辺で。
(°ω°)ノシ

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