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“No”と言って断ることは思いのほか難しかった【ノーと言えない日本人】
『ノーと言えない日本人』ってフレーズは有名だけど、留学するような人は「自分は違うよ」と思っていないだろうか。
私は思っていた。
なのでカナダでお客さんに向かって直接 “No” と言った時、ものすごい抵抗を感じた事にとても驚いた。
「すみませんがちょっと…」では伝わらない
カナダ赤十字インターンの受付を担当していた時に、そこでは提供していないサービスを求められた事があった。
私は
“ I’m sorry but It’s a bit difficult …”
(すみません、それはちょっと難しいです…)
と答えた。
私としてはこれで「断った」つもりだったが、お客さんには伝わっていなかった。
お客さんは「だから、私が言いたいことは〜で、〜〜して欲しいの!」と、同じ要望を繰り返してきた。
あれ?私いま断らなかったっけ?
すみませんって言ったよね?
これで分からないの??
…しかしね、
思えば「すみませんがちょっと難しいです…」で伝わるはずがない。
文脈のどこにも「できません」という内容が含まれていない。
仕方なく
“ No, I can’t ”
(できません)
と答えた。
その時 “No” といって断る事に異常なほどに抵抗を感じたのでビックリした。
“ No, I can’t ”と言って断る事に抵抗を感じる
日本で私は割とハッキリ物を言う方だと言われていた。
嫌なことはイヤと言うし、行きたくない誘いは断る。
なので “No”と言う事にこんなに抵抗を感じるとは思っていなかった。
ただし思い返せば、誘いを断るにしても「悪いんだけどちょっと都合が悪いのでごめんね〜」みたいな言い方をしていた。
誘いを断るときにも「行かない」というフレーズを使わずに断れる言い回しを選んで使っていたし、日本語で「ごめんね」と言えば「No」と同等の意味だと捉えていた。
断るにしても「No」とは言っていなかったんだ…という事に気がついた。
そして英語で
“ No, I can’t ”
(できません)
と言って断るときに、
(言いたくない!無能って思われる!!)
という抵抗をものすごく感じた。
日本ではお客さんの要望に応えられないとき
「申し訳ありませんがちょっと…」
といった具合で言葉を濁していた。
お客さんに向かって
「それはできません」
と一刀両断に断った事がなかった。
「できない」と言って断るのは、お客さんを不愉快にさせたり自分の評価を落としたりするから、良くない事だと思っているのかもしれない。
穏便にその場を乗り切るために「それはちょっと…」と言葉を濁して、相手に「そうか、できないんだな」と空気を読んでもらうように仕向けていた。
自分も『ノーと言えない日本人』なんだな〜、と妙に感心してしまった。
“ There’s nothing I can do ”という便利なフレーズ
“No”と言うことに対する抵抗感は結構根強く、その後もなかなかスムーズに“ No, I can’t ”と断る事ができなかった。
そんなある日、同僚が
“ I’m sorry but there’s nothing I can do ”
(すみませんが私にできる事はありません)
というフレーズで断っているのを耳にした。
使ってみると、主語が “I” じゃないからなのか、このフレーズは抵抗なく使う事ができた。
何というか、自分の能力不足でできないわけじゃなくて、条件が悪くてできる事がないんですよ〜って言い訳できてる感じがする。
そんなわけで“ No, I can’t ”の代わりに“ There’s nothing I can do ”、結構いいです。
それにしても「すみませんがちょっと…」で「No」の意味になるって、凄いハイコンテクストだな。
では今回はこの辺で。
(°ω°)ノシ
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