赤十字インターンちょっと困ったお客さん①【壊れた歩行器を修理してほしいと持ち込んできたおじいさん…のはずが】

赤十字インターンちょっと困ったお客さん①【壊れた歩行器を修理してほしいと持ち込んできたおじいさん…のはずが】

赤十字インターンちょっと困ったお客さん①【壊れた歩行器を修理してほしいと持ち込んできたおじいさん…のはずが】

 
ある日、一人のおじいさんが「借りている歩行器が壊れたので修理してほしい」と持ち込んで来た。
 
歩行器には赤十字のシリアルナンバーが付いていて、確かにここのオフィスから貸し出したものだとわかる。
 
しかしこの歩行器、随分とボロボロに見える。全体に薄汚れているし、ハンドルのゴム部分は経年劣化でヒビが入り、フレーム部分の塗装も所々剥がれている。
 
ここのオフィスでは最長6カ月までの貸し出していないし、帰ってきたものはきちんとメンテナンスされる。この歩行器は返却されずメンテナンスされないままに長期間使用されていたように見える
 
更におじいさん自身がフラフラしている。身なりも半分浮浪者のようで髪も髭も伸び放題でボサボサだ。
 
酔っ払っているようにも見えるし、薬物中毒か何かのようにも見える。(カナダではマリファナがかなりポピュラーなドラッグで、都市部には結構な数の中毒者がいる)
 
それはそうとして、歩行器をメンテナンススタッフに確認してもらうと30分程度で修復できるということだった。30分くらいで出来るから待っていてね、とメンテナンススタッフが声をかけおじいさんは椅子に座って待っていた。
 
椅子に座ったおじいさんはぐったりと首が折れたようにして眠ってしまった。率直に言えば酔いつぶれたアル中にも見えた。
 
他のボランティアメンバーと「マリファナかな…」「マリファナじゃない…?」とかいう会話をしていたら、おじいさんがおもむろに立ち上がり、椅子をひっつかんでオフィスの外に出て立ちションし始めた!
 
さすがに驚いてメンテナンススタッフ(その時オフィスに居た唯一の男性)が「何してるの!そこでそんなことしたらダメだよ!!」と連れ戻しに行ったが、このまま修理した歩行器を貸し出していいのかどうか不安になった。
 
同僚がおじいさんの名前や電話番号を確認しようとしていたが、何か良くわからない返答をモゴモゴとするばかりでハッキリしたことはわからなかった。
 
とりあえず修理の終わった歩行器を渡して、「じゃあね〜」と見送ったけれど、この対応で良かったのかどうか…。他のボランティアメンバーも「いいのかなぁ…」といった顔をしていた。
 
ここのオフィスはあくまでも単なる貸し出し窓口であり、オフィスにいるのもほとんどボランティアなので裁量権はほとんど無い。いいのかなぁと思いつつも、すでに貸し出されているアイテムを「やっぱり貸せない」と言うこともできず、モヤモヤした気持ちが残る対応だった。
 
 
※この話には結構強烈な後日譚がある。
 
後日、おじいさんの持ってきた歩行器のシリアルナンバーから追跡して分かったことは、本来借りて行った患者は既に亡くなっていて、近所の人が勝手に歩行器を持って行って使っているらしいということだった。
 
借りていた人が死亡したので返却されないのは分かるけど、そこから勝手に歩行器を持ち出して使っているあのおじいさんはなんなんだろう…
 
オフィスでも話題にはなったけれど、だからと言ってそれに対して何かできるわけでは無い。このオフィスは医療機関からの紹介状に従って医療器具を貸し出すため、ボランティアによって運営されている施設に過ぎない。
 
歩行器を使い続けているおじいさんも気になったけど、亡くなった本来の利用者の事もちょっと気になる事件だった。

 
では今回はこの辺で。
(°ω°)ノシ

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